EURO2020 イングランドのグループステージ3試合を振り返る
どうも、わたなべです。
今回はEURO2020におけるイングランドのグループステージ3試合の雑感です。
大会前・メンバー選考
・3年前のW杯でベスト4に進出したこともあり、期待値は高め。
・メンバー選考に関しては、アレクサンダー=アーノルドが怪我で招集外になったが、各ポジションで調子のいい選手(スターリングを除く)を揃えたなという感じ。
・グループはクロアチア、スコットランド、チェコ。悪くない組み合わせ。だが、番狂わせが多い大会なので油断は禁物。3位でも上がれることもある。前回、優勝のポルトガルはグループステージ3引き分けの3位から優勝を果たした。
・グループステージは全てウェンブリーで試合ができるという圧倒的なアドバンテージ。
それではさっそく、1戦目から見ていきましょう。
イングランド - クロアチア
開幕戦は是が非でも勝ちたい試合。イングランドは左SBでトリッピアーを置いたこと以外はほぼ順当なスタメン。
ビルドアップでは方向性がバラバラだった。とにかく遠くに蹴り飛ばしたいピックフォード、自由気ままなフィードを繰り返すミングス、ショートパスしか認めないストーンズ。ライスは何とか糸口を探すべくポジションを動かすが、その開けたスペースを使う選手もいない。フィリップスが使ってくれたら、もう少しうまくいきそうだったが。
攻撃では右サイドではフォーデンが孤立し、見せ場をなかなか見せられない。しかし、左サイドではマウント、スターリング、ケインがポジションチェンジしながらの攻撃は有効的だったように思う。トリッピアーがうまく絡めていたら、厚みのある攻撃になっただろうが、慣れない左SBなので仕方ない。
守備は前線からさぼることなく、プレスを敢行。途中から、モドリッチ、コバチッチの連携、個人技でボールを運ばれるが場面もあったが、中盤もライス、フィリップスやDF陣は強固。
試合はフィリップスからのパスをスターリングが決めた得点が決勝点。その一点を守り切って勝利。開幕戦なので内容より結果。難しい試合の中で勝ち切れたのは大きい。
試合結果
得点:57' ラヒーム・スターリング
イングランド - スコットランド
世界最古の国際試合であるイングランドvsスコットランド。EURO本大会での対戦は96年以来で、その時はイングランドが勝利している。プレミアリーグでプレーする選手は両チーム合わせて17人とプレミアファンの私も興奮を隠せない試合であった。
イングランドは相変わらず、ボールを繋げない。最終ラインから相手の裏へのパスが何回か見られた。スコットランドのラインが高かったので狙っていたのか、ボールを繋げず捨てた結果なのかはわからない。クロアチア戦から改善された点はルーク・ショーが左サイドバックに入ったことで物足りなかった左サイドの攻撃は活性化された。
一方で、スコットランドもボールを繋げない。前半早々にマクトミネイがスターリングに捕まりピンチを迎える。攻撃はロバートソンを中心に左サイドからが多め。ロバートソンのクロスはもちろんだが、ロバートソンを追い越してティアニーがクロスを上げる場面もあり迫力があった。決まりそうなチャンスはイングランドよりも多かっただろう。
終盤にスコットランドゴール前でわちゃわちゃとしたラグビー感もあり、0‐0ながら楽しめた試合であった。EURO2020における、スコットランドの目標はイングランドに負けないことだったようなので、スコットランドとしては目標を達成できたことになる。イングランドも初戦で勝ち点3を得ているので引き分けは悪くない結果だ。
試合結果
チェコ - イングランド
マグワイアが復帰、サカとグリーリッシュが今大会初先発。
試合開始前から決勝トーナメントの進出は両チーム決定しており、チェコは勝利か引き分けで、イングランドは勝利でグループ首位通過が決まる。勝ち抜けが決まっているからか、全体的に緩め。最終局面だけ締めたという印象。
攻撃では、前半2分にショーの縦パスに反応したスターリングがシュートを放ったが、おしくもポスト。前線に速い選手を揃えるイングランドは、ショーから相手最終ライン背後へのパスは一つの武器になるだろう。前半12分、スターリングのゴールで先制。初戦の得点とは違い、しっかり崩しての得点。起点はサカがビルドアップに降りたところから、アシストはグリーリッシュのクロスからと初先発の二人がいきなり結果を残した。
ビルドアップではバラバラだった方向性がショートパスで繋ぐことで統一されたように感じた。過去2試合は遠くに蹴り飛ばしていたピックフォードもショートパスを一つ目の選択肢にビルドアップを開始。チェコのハイプレスに慌てる場面も見られたが、方向性が決まったことはよかったように思う。
後半スタートからヘンダーソンがライスに代わり投入される。今大会初出場。フィリップスがアンカーに、前半のフィリップスの位置にヘンダーソンが入った。ライスの疲労とヘンダーソンのコンディション調整の意味合いが大きい交代だろう。ヘンダーソンが加わったことで全フェーズでクオリティがアップ。具体的には低調だったビルドアップや攻撃では孤立しがちな右WGのサポート。足りない部分やうまくいっていない箇所を補ってくれた。コンディションさえ整っているならフィリップスよりヘンダーソンを使いたい活躍。
試合はスターリングの先制点が決勝点になり、イングランド勝利で終了。この結果、イングランドが首位、チェコが2位で決勝トーナメントへ。
試合結果
得点:12' ラヒーム・スターリング
全体の感想と決勝トーナメントへ向けて
グループステージは問題なく突破できた。初戦からの課題のビルドアップは改善されつつあるが、組織的にプレスをかけられるとおそらく破綻する。得点が少ないのは少し気になる。ロシアW杯で武器だったセットプレーでいい場面が少ない。セットプレーだけを考えるならストーンズはこのまま使いたいが、疲労が溜まってくると、判断力の低下からプレーが雑になる。なので、どこかでやらかすのではないかと心配している。ケインが本調子ではないと言われているが、徐々にコンディションを上げている。初戦、2戦目のボールタッチが26、19だったのに対し、3戦目では46まで伸ばし、試合に絡めるようになってきている。シュート数こそ少ないままだが、ケインならゴール前でチャンスさえあれば決めるだろうと思っているのであまり心配はしていない。グリーリッシュとマウントのどちらを使うべきかという問題は、正直どちらでもよい。どちらでもそれなりにやってくれるだろう。
決勝トーナメントの初戦はグループF/2位通過のドイツ。首位通過でドイツかと思うが、2位通過のチェコはオランダなのであまり変わらない。EUROは決勝トーナメントに入るとどこも強敵ばかり。また、ウェンブリーで戦えるのは1位通過の唯一のメリット。
ドイツはグループステージ3試合で6得点、4失点と攻撃力はあるチームなのでしっかり守って無失点の時間を多くしたいところ。イングランドはスターリングを筆頭に焦るとクオリティーが著しく低下するので、追いかける展開にはしたくない。無失点でどれだけ試合を進められるかがポイントだろう。